設立趣旨
一国の安全保障の水準は、その国の国民の国防意識の水準によって定まると言って過言ではありません。国民の国防意識が高い国では、適切な備えがなされることによって安全保障の水準は高く維持され、外国の侵略を容易に受けるようなことはありません。ところが、我が国では、戦後、反戦教育のみに重点が置かれ、国家の安全保障について本来あるべき教育や報道が行われてきませんでした。このため、「平和ボケ」と言われるように、現在の我が国国民の国防意識の水準は低く、不健全なものに陥っています。我が国は、長らく安全保障の拠り所を米国に依存してきたこともあって、自らの国を自らの力で守り抜くという気概をいつのまにか失ってしまったのです。
いま欧米にかつての力はなく、他方で中国の著しい軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発等が進み、我が国の安全保障をめぐる情勢が厳しさを増す中、我が国国民の国防意識がこのような状態であることは極めて危険というほかありません。我が国で、いま、何よりも喫緊に求められているのは国民の国防意識の健全化と向上なのです。そして、国民の一人一人が国を守る気概を取り戻し、生き残るための戦略を自ら考えるようになることです。
本研究会は、こうした問題意識に立って、戦争の原因、国家のあるべき姿、我が国をとりまく安全保障の現状、今後の国防体制のあり方、その他国家としての生存戦略に関し、その研究を深めるとともに、セミナー開催等による普及・啓発活動を行い、これらを通じて国民の健全な国家意識および安全保障意識の涵養に努め、我が国の恒久的な生存と繁栄に資することを目的として有志によって設立されたものです。日本国の弥栄(いやさか)を願う皆様方の積極的なご参加とご支援を賜れば幸いです。
国家生存戦略研究会 会長 矢野義昭